アンプの「速さ」はそんなに問題なのか?
と提起しておいて、今度は本当に「速さ」の問題です。
オペアンプでI−V変換
CDプレーヤなどに使われているDACの多くは、電流出力となっていて、
その直後にI−V変換回路を持ちます。
ここにオペアンプを使う製品はいまだに後を断ちません。
設計者は自分のやってる仕事を本当に理解しているのでしょうか?
かつてオーディオフェア(オーディオエキスポの前身)でSONYの技術者を
ひとり捕まえて詰問した事がありますが、少なくとも彼には理解できませんでした。
DACから出力される信号は垂直に切り立った信号です。
オペアンプにNFBで作った積分回路で追従できるような生易しいものでは
ありません。
それがCD以来言われる「デジタル臭さ」の原因の大半ではないかと
僕は考えています。
事実、その問題に根本から対処した無帰還I−V変換のDACは
デジタル臭さのないDACとして好評を博しています。
絆創膏的には「シャントスローパ」も有効でした。
これはオペアンプI−VのCDプレーヤを救済する技術で、
DAC出力端子とGNDの間にマイカキャパシタを入れ、
積分回路の入力端子にオペアンプのスルーレイト以上の速い信号か
入らないようにする技術です。
上りと下りで対称な動作を保証しないので歪み率を悪化させる可能性がありますが、
それでも未処理のものよりずっとスッキリした音になりました。
入力信号に追従できる速さ、それは最低限の必須項目です。
まだまだ、デジタルオーディオはこれからのようです。
執筆 1999年8月
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