どっちの油ショー（キョホー）

　20代半ば頃、大晦日にバイクで名古屋の友人Ｍ氏を訪ねるという迷惑なイヴェントを何年か続けた事がありました。その何回目かの時の出来事。

　着くなりＭ氏はコーヒーを出してくれました。飲んでいると
　「そのコーヒーの銘柄は何だと思う？」
　そう訊くからにはポヒュラーな銘柄に違いない。名前も知らない豆でそんな問題を出す人ではありません。本来なら豆自体以上に淹れる人（淹れ方）による違いも大きいのですが彼のコーヒーはある程度知っているのでいきなり「判りませんよ」とも言わずちょっと考えてみる事にしました。
　特有の酸味を持つモカをまず除外。ずっしりした味なので知ってる中から軽い味のブラジル、ガテマラ、キリマンジャロを除外。するとこの酸味は…
　「マンデリンでしょうか」
　「当たりだ…」

　これを当ててしまったのがいけなかったのかも知れません。夜になって街に出ようと誘われました。連れて行かれたのはとあるドーナツ屋。チェーン店のようですがまだ山梨では見かけません。彼が甲府に住んでいた頃、よく24H営業のミスタードーナツでトグロを巻いたものでした。懐かしさも手伝ってドーナツを食べ始めるなり彼からの第２問。
　「ここのドーナツの揚げ油は何だと思う？」
　さっきの続きか！これは受けないわけにいきません。知っている油の種類なんて限られていますから、消去法で少しでも選択肢を絞ってあとは確率に賭けるしか！
　当時ミスタードーナツではショートニングを使っていました。ケンタッキーでも当時から現在に至るまでショートニングです。この風味は知っているが違うので除外。勿論胡麻油やオリーヴ油でもない。食感が軽いので、重い傾向の大豆油、綿実油、なたね油は除外。比較的食感が軽くてサラダ油になるのはヒマワリ油、コーン油、サフラワー油ぐらいか…ヒマワリとベニハナは高価い。ここは勝負！
　「コーン油ではないでしょうか」
　「うっ…当たりだァ」

　それから10年以上経って、大阪在住の友人Ａ氏にこの話をしました。彼は運良く当たった事に驚くより
　「お前、なんでそんなに食用油の種類知ってんだ…」
　そっちかい！後日、何人かに話しましたが皆「そっちの方がすげー！」派でした。そうなのか…？

2005年1月17日