県外から来た大学生が自動車教習所で最初に遭遇する甲州弁の難関といえばこの 「ちょ」でしょう。
「カーブの途中でブレーキ踏んぢょ」
「え?あ、はい」
「踏んぢょっつってるになんで踏むだ!」
こんな問答が今でも毎年交わされている事になっています。
甲州弁エリアに暮らす者なら「ちょ」が禁止を表す語尾である事は常識で、
まさかそんな日常的な語が通じないとは夢にも思わない、
というありがちな構図です。
本当にそんな会話が交わされているのかは
もう何年も自動車教習所なんか行ってませんから
知る由もないのですが、この逸話もまた違和感なく語り継がれており、
具体的に事実かどうかとは関係なく「ありそうな話」「あってもおかしくない話」
として定番化しています。
「踏んぢょ」という発音は、共通語圏から来た耳には全く馴染みがなく、
無意識のうちに最も近い語彙を探して
「踏んじゃえ」の訛ったものと解釈してしまうんでしょう。
「ちょ」は禁止の語尾です。知らなかった県外の人を不勉強と責められるでしょうか?
気をつけるべきなのはむしろ地元の人々の方かも。
少なくとも県外の人を迎える教習所の先生にはそのぐらいの指導が欲しいですね。